親の「むせ込み」を見逃さないで。誤嚥性肺炎のリスクを下げるための口腔ケア

      2026/06/10

月島(中央区佃)の歯医者、佃2丁目歯科で、親の「むせ込み」を見逃さないで。誤嚥性肺炎のリスクを下げるための口腔ケア

こんにちは、月島(中央区佃)の歯医者、佃2丁目歯科の院長、神成です。

「最近、食事中に親がよくむせるようになった」
「お茶を飲んだときに激しく咳き込むことが増えて心配……」

ご高齢のご家族がいらっしゃる方の中で、このような「むせ込み」が気になっている方はいませんか?

実は、高齢者の方が食事中や睡眠中に食べ物や唾液を誤って気管に入れてしまう「誤嚥(ごえん)」は、単なる衰えのサインだけでなく、命に関わる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」を引き起こす引き金になります。

現在、日本の高齢者の死因において、肺炎(その多くを誤嚥性肺炎が占めます)は非常に高い割合を占めています。

この記事では、誤嚥性肺炎の基礎知識から、なぜお口のケアが予防に繋がるのかという科学的根拠、ご自宅でできる具体的な対策、そして歯科医院で行う専門的なケアについて解説します。

 

データで見る「誤嚥性肺炎」の現状

まず、誤嚥性肺炎が日本の高齢者にとってどれほど身近で、かつ警戒すべき病気であるかを、公的なデータから紐解いていきましょう。

 

日本人の死因における「肺炎」の順位

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厚生労働省が発表している「令和5年(2023年)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、日本人の死因順位において「肺炎」は第5位(死亡数約7.2万人)、「誤嚥性肺炎」は独立した項目として第6位(死亡数約5.8万人)となっています。
これらを合わせると、年間13万人以上の方が肺の炎症によって命を落としていることになります。
(出典:厚生労働省「令和5年(2023年)人口動態統計月報年計(概数)の概況」)

 

高齢者の肺炎における「誤嚥性」の割合

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さらに深刻なのは、年齢が上がるにつれて肺炎の中に占める「誤嚥性」の割合が急増するという点です。
日本呼吸器学会のガイドライン等に引用されるデータによると、70歳以上の肺炎患者の約70%以上、90歳以上になると90%以上が「誤嚥」に関連していると報告されています。
(出典:一般社団法人 日本呼吸器学会「成人肺炎診療ガイドライン」)

これらのデータが示す通り、シニア世代の肺炎予防を考える上で、「誤嚥への対策」を避けて通ることはできません。

 

誤嚥性肺炎が起こる「2つのルート」とメカニズム

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そもそも、なぜ誤嚥をすると肺炎になってしまうのでしょうか。
そのメカニズムは、単に「食べ物が肺に入るから」だけではありません。
鍵を握っているのは「お口の中の細菌」です。

通常、食べ物や水分は「食道」を通って胃へと送られます。
空気は「気管」を通って肺へと送られます。
喉には「喉頭蓋(こうとうがい)」という蓋があり、飲み込む瞬間にこの蓋が自動的に閉じることで、気管に異物が入るのを防いでいます。

しかし、加齢や病気によってこの筋肉や神経の働きが鈍くなると、蓋の締まりが悪くなり、誤って気管の方へ異物が流れ込んでしまいます。
これが「誤嚥」です。

誤嚥性肺炎は、主に以下の2つのルートで発症します。

  • 食事中の誤嚥(顕性誤嚥)
  • 睡眠中の不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)

 

ルート①:食事中の誤嚥(顕性誤嚥)

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食事中に、お茶やスープなどの水分、あるいは細かくなった食べ物が、誤って気管から肺に入ってしまうケースです。
このとき、お口の中の細菌が食べ物と一緒に肺へと送り込まれ、肺の中で増殖して激しい炎症を引き起こします。

 

ルート②:睡眠中の不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)

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実は、ご家族が最も気づきにくく、注意が必要なのがこのルートです。
夜間、眠っている間に、お口の中に溜まった「細菌だらけの唾液」や「胃から逆流してきた液」が、本人が気づかないうちに少しずつ気管に垂れ込んでしまう現象です。
激しくむせることがないため周囲も気づきにくく、朝起きたら発熱している、という形で表面化します。

つまり、誤嚥性肺炎の本質は「肺に異物が入ること」そのものよりも、「異物と一緒に、お口の中の大量の細菌(むし歯菌、歯周病菌など)が肺に入り、免疫力が落ちた体内で悪さをすること」にあるのです。

 

なぜ「歯科医院での口腔ケア」が肺炎を予防するのか?

「肺の病気なのに、なぜ歯医者が関係あるの?」と思われるかもしれません。
その答えは、前述の通り「肺炎の原因菌の供給源がお口の中にあるから」です。

ここに、歯科業界だけでなく医療界全体に大きな衝撃を与えた有名な研究データがあります。

 

口腔ケアによる肺炎発生率の減少データ

米山武義歯科医師らの研究チームが、特別養護老人ホームなどの施設入所者を対象に行った臨床研究(1999年発表)があります。
この研究では、看護師や歯科衛生士が専門的な口腔ケア(歯磨き、粘膜の清掃、入れ歯の洗浄など)を週に1〜2回実施したグループと、従来の自己流のケアのみを行ったグループを2年間にわたって追跡調査しました。

その結果、専門的な口腔ケアを行ったグループは、行わなかったグループに比べて、肺炎の発症率が約40%減少(約4割減少)し、肺炎による死亡率も大幅に低下したことが実証されました。

月島(中央区佃)の歯医者、佃2丁目歯科で、親の「むせ込み」を見逃さないで。誤嚥性肺炎のリスクを下げるための口腔ケア

(出典:Yoneyama T, et al. Oral care and pneumonia. Lancet. 1999)

この研究により、「お口の中を清潔に保つことは、単にむし歯や歯周病を防ぐだけでなく、高齢者の命を肺炎から守る医療行為である」という認識が世界中に広がりました。
お口の細菌数を減らしておけば、万が一、唾液を誤嚥してしまっても、肺の中で重い炎症が起きにくくなるのです。

 

お口の衰え(オーラルフレイル)に気づくためのチェックリスト

誤嚥性肺炎を防ぐためには、手遅れになる前に「お口の機能の衰え(オーラルフレイル)」を早期に発見することが重要です。
オーラルフレイルとは、噛む・飲み込む・話すといったお口の機能が少しずつ低下していく状態を指します。

ご自身やご家族のお口の状態について、以下の項目をチェックしてみてください。

食事中や食後に、よく「むせる」「咳き込む」ことがある。

お茶や水などの「サラサラした水分」が、以前より飲みにくくなった。

硬いものが噛みにくくなり、柔らかい料理を好むようになった。

口の中がよく乾く(唾液が少なく、パサパサする)。

会話中に言葉が滑らかに出なくなったり、食べこぼしが増えたりした。

歯が抜けたまま放置されている場所がある。

入れ歯がガタついていて、しっかり噛めない。

※3つ以上当てはまる場合は、お口の機能が低下し、誤嚥のリスクが高まっている可能性があります。
一度、歯科医院での機能評価を受けることをお勧めします。

 

ご自宅でできる!誤嚥性肺炎を防ぐ「3つの家族ケア」

ご家族が日常生活の中で実践できる、誤嚥性肺炎のリスクを下げるための具体的なアプローチを3つご紹介します。

 

対策①:毎食後の「丁寧な歯磨き」と「入れ歯の洗浄」

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お口の中の細菌を減らすことが第一歩です。

ご自身の歯
歯と歯茎の境目、歯の裏側を意識して磨きます。
ご高齢になると手の細かい動きが難しくなるため、ご家族が仕上げ磨きを手伝ったり、電動歯ブラシを活用したりするのも有効です。

入れ歯の管理
入れ歯はプラスチックの性質上、非常に細菌(カンジダ菌など)が付着しやすい構造をしています。
毎食後、取り外して専用のブラシで洗い、夜間は洗浄剤につけて清潔を保ちます。
入れ歯を汚れたまま放置することは、細菌を口の中で育てているのと同じになってしまいます。

 

対策②:食事の「姿勢」と「調理の工夫」

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食べる時の姿勢や食べ物の形態を少し変えるだけで、誤嚥は大幅に減らすことができます。

ご正しい姿勢
椅子に深く腰掛け、足の裏がしっかりと床につくようにします。
顎が上がると気管が広がり、誤嚥しやすくなるため、少し「顎を引いた姿勢」を意識できるように、クッションなどで調整してください。

とろみをつける
さらさらしたお茶やみそ汁は、喉を通り抜けるスピードが早いため誤嚥を招きやすいです。
市販の「とろみ調整食品」を適量混ぜることで、ゆっくりと喉へ送り込めるようになります。

 

対策③:お口の体操(パタカラ体操)

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喉や舌の筋肉を鍛えることで、飲み込む力(嚥下機能)を維持します。
食事の前に、「パ」「タ」「カ」「ラ」という4つの音を、意識して大きくはっきりと発音する体操です。

「パ」:唇をしっかり閉じる(食べこぼしを防ぐ筋肉)

「タ」:舌の先を上の歯の裏につける(食べ物を喉の奥へ送る筋肉)

「カ」:喉の奥を閉じる(誤嚥を防ぐために蓋を閉める筋肉)

「ラ」:舌を丸める(食べ物を丸めて飲み込みやすくする筋肉)

 

まとめ:歯科医院で行う「専門的口腔ケア」の役割

月島(中央区佃)の歯医者、佃2丁目歯科で、親の「むせ込み」を見逃さないで。誤嚥性肺炎のリスクを下げるための口腔ケア

誤嚥性肺炎の予防は、ご自宅でのケア(セルフケア)だけでは限界があります。
なぜなら、歯周ポケットの奥深くに潜む歯周病菌や、歯石として固まってしまった汚れは、通常の歯ブラシでは取り除くことができないからです。

佃2丁目歯科では、シニア世代の患者様お一人おひとりと一対一で向き合い、以下のような専門的なアプローチで誤嚥性肺炎の予防をサポートしています。


プロによる徹底的な清掃(プロフェッショナルケア)
専用の器具を用いて、お口の中のすべての細菌の塊(バイオフィルム)や歯石、舌の汚れ(舌苔)を清掃し、お口の細菌数をリセットします。

噛み合わせと入れ歯の調整
しっかりと噛んで唾液を出すことは、お口の自浄作用を高め、誤嚥を防ぐために不可欠です。合わない入れ歯の調整や、抜けた部分の修復を行います。

嚥下機能の評価とリハビリ
お口の動きや飲み込みの状態を確認し、その方に合った食事の摂り方や体操のアドバイスを丁寧に行います。


「最近、親の飲み込みが心配だな」と感じたら、それは大切な健康の黄色信号です。
大きな病気になってしまう前に、まずは一度お口のチェックにお越しください。
皆様が、大切なご家族と一緒に、いつまでも安心しておいしい食事を囲める毎日を、全力で支えてまいります。

 



佃2丁目歯科:https://tsukuda-2-dental.com/

〒104-0051 東京都中央区佃二丁目5番11号 ローゼ・イワサキ102号
電話:03-6381-2655

交通アクセス
電車でお越しの方:東京メトロ有楽町線月島駅駅より徒歩4分

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